TONO-HOP-BOX
BrewGoodが進めてきたプロジェクトの背景や目的・狙いを解説します。
ローカルでプロジェクトを進める方の参考になれば嬉しいです。
今回解説するのは2020年夏にリリースした「TONO HOP BOX」です。
TONO HOP BOXは遠野のビールと地域の食材を詰め合わせたギフトボックスです。
製作のきっかけは新型コロナウイルスの感染拡大
岩手県遠野市は日本随一のホップ生産地として、半世紀以上にわたりホップ栽培を続けています。
夏になると、市内のあちこちに現れるホップのグリーンカーテン。
ホップは遠野の夏の風物詩であり、市民の誇りです。
毎年夏には多くの観光客、ビールファンの皆さんが、このホップ畑を見るために遠野を訪れてくれていました。
今年はビアツーリズムや夏の一大イベント遠野ホップ収穫祭も中止に。
リアルのイベントを開催するのは難しい。
そう判断した時から、このTONO HOP BOXの企画を始めました。
こんな時だからこそ関係性の強化
今までは、ビアツーリズムやイベントで実際に遠野に来てもらって直接コミュニケーションをとってビジョンを伝え、ファンになってもらう活動をしていました。
今年は遠野に来てもらってホップ畑にお連れすることはできないけれど、ご自宅で遠野を感じてもらいたい。
ビールの里プロジェクトが大切にしている「ファンの皆さんとのコミュニケーション」をどう実現するか。
その答えがTONO HOP BOXだったのです。
TONO HOP BOXを開けると一番最初に目に飛び込んでくるのは、私たちからのメッセージカード。
ビールや食材だけでなく、私たちの思いを伝えるVISION BOOK、ホップ畑のポストカードも同封しています。
初回限定でしたが、中止になった遠野ホップ収穫祭2020のリユースカップも同封しています。
年号が入ったリユースカップは毎年人気で、コレクションしている方もいるほど。今年は中止を決めてから発注しています。
リユースカップにも「今年はイベントが開催できないけど、またいつか遠野で乾杯しましょう」というような特別なメッセージを印刷しています。
2020年4月から #いつかホップ畑で会いましょう というキャンペーンを始めましたが、TONO HOP BOXもその延長線上にありました。
コロナ禍が落ち着いた時、また遠野を訪れてもらえるように。
遠野に来れない期間が続いても、私たちのプロジェクトや地域への応援の気持ちが続くように。
コロナ禍のような状況が発生した時に「何をするか」を考え行動するのは大切だと思っています。
これは対外的な施策だけではありません。地域側の事業者にとっても、ファンとのコミュニケーションが続くことはモチベーションの維持に繋がります。
一連の取り組みによって、未来に向けての前向きな施策に切り替えていくことができたと思います。
一時的な施策にならないように
コロナ以後、インターネット上で情報発信する事業者や地域が一気に増えました。
ECの強化や、クラウドファンディングの案件も急増しています。結果として起きそうだったのは、情報が埋もれやすくなるということです。
捨てられない、飾ってもらえるような箱をつくる、というのも企画・製作時に意識した点です。
箱には遠野のホップ畑の風景を印刷し、飾りたくなるようなデザインに。
長く使っていただけるように、しっかりとしたつくりになっています。
部屋に飾ってもらえると、日常の中で遠野を思い出してもらえる機会が増えます。
そうすると、いつか遠野に行ってみたい、また行きたい、という気持ちになってもらえるかもしれない。そんなことを想像しながら箱のデザインを決めていきました。
また、個人向け用のギフトセットではありますが、ビアバーなどの飲食店の店内装飾にも使ってもらえることも想定しています。
ホップ畑の美しい風景があることで、お客さんとのコミュニケーションも生まれるのではと考えています。
そして、遠野のホップ畑に触れる人が増えていくことに繋がります。実際に、販売後に飲食店経営の方に購入していただいたケースもありました。
どこでも装飾が可能に
遠野(地域内)でも、お店や施設の装飾に使っていただいているケースもあります。
観光で遠野を訪れる人全員が、ホップの一大生産地であることを知っているわけではありません。
魅力を伝えるのに一番早いのは、ホップ畑の写真を見てもらうことです。
文字でどれだけ説明しても、ホップ畑の写真一枚にはかないません。
TONO HOP BOXは、商品そのものでありながら、持ち運びも組み立ても容易な装飾のためのツールとしても活用可能です。
限られた販売スペースの中で、パネルを設置したりポスターを貼れなくても箱自体がホップ畑を伝えるものになります。
私たちは、観光で訪れた方や地域の方が、売り場など色々な場所で、年中ホップ畑を見れる状態にすることを目指しています。
そうすることで、ホップという地域の資源に気付いてもらえる機会が増えるのです。
地域の食を支える
TONO HOP BOXは、ビールと「地域の食材」のギフトセット。
地域の食を支えるという目的もあります。
今年の春、遠野の老舗ブルワリー・ズモナビールのクラウドファンディングを実施しました。
イベントが中止になり、在庫を抱えてしまったビールを販売するためのプロジェクト。
https://camp-fire.jp/projects/view/259859
遠野パドロンなどの他の地域事業者の食材をセットにしたコースも人気でした。
このクラウドファンディングでは、コロナ禍で苦しむ一部の事業者をサポートすることができました。
しかし、地域に目を向けると、作った商品が売れずに困っている事業者の方々はまだたくさんいらっしゃいます。
道の駅などの観光施設で販売していたもの、首都圏の物産展などに出品していたものなどは、
集客が減ったことにより売れ行きが鈍ってしまっています。
私たちは、企画の際に改めて遠野で売られている商品をリサーチしました。
地元で売られているものは、実際に買ったり、食べたりする機会も少ないので新鮮な体験でした。
そこで感じた課題。多くの商品は数百円ほどの単価で、店頭で販売するのには適してはいるものの、単品で通販で売るのは難しいということ。
であれば、食材に少し手を加えてビールのおつまみにアレンジすることで、「ビールの里」というテーマでセット販売することができないか。
ビールと食材をセットにしたギフトボックスを企画したのもこういった背景がありました。
私たちがホップの生産地・遠野で掲げるビールの里構想。なぜ、ビールの里なのか。
それは、ホップの里だと原料の生産地だけだったのが、「ビール」と枠を広げることで、他の資源と交わることができるからです。
「ビール」というテーマが地域の資源を繋ぎ、今までとは違った魅力が生まれる。
遠野のビールのファンが、地域の食と出会う機会を作ることもできる。
今回のTONO HOP BOXは、私たちのビールの里構想を体現する取り組みになっていくと考えています。
「おつまみ」を起点に食の魅力を広げる
同封する食材の一部には「アレンジレシピ」を同封しています。
こちらも今回弊社で製作しました。
例えば、燻製とうふ。遠野産大豆で作られた豆腐を燻製した商品です。
このまま食べてもヘルシーかつ、チーズのような濃厚さがありますが、
オリーブオイルと粉チーズと黒胡椒をたっぷりかけると、ビールにぴったりのおつまみに。
ご自宅で料理をするという体験も提供しながら、それぞれの食材の魅力を広げる施策です。
レシピを開発することで、おつまみ用に作られた商品以外も扱えるようになります。
製作したレシピカードは販売事業者に提供し、その商品単体の売り場でも活用できるようにしました。
TONO HOP BOXだけでなく商品単体の売上も上がったと報告を受けています。
たくさん書いてしまいましたが、以上がTONO HOP BOXについての解説です。
ギフトセットをつくるということだけでなく、色々な意味を持たせています。
もっと詳しく聞きたい、商品開発について相談したいということがありましたら、WEBサイト(https://brewgood.jp/ )下部のコンタクトフォームからご連絡ください。
購入方法について
下記のサイトで販売しています。
遠野市のふるさと納税の返礼品にも選ばれています。
https://www.furusato-tax.jp/feature/detail/03208/7175?city-product_original